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瀬戸黒茶碗と同じように、黒釉が器の全体を包んで、文様のないものを黒織部という。 そこで瀬戸黒と織部黒の違いは、作為にあって、 瀬戸黒は端正でシンメトリー(左右の釣りあいがとれて均斉である)となっており、姿は半筒型で腰は張る。 高台もまた低いものを指す。 一方、織部黒は造形としては歪みをもつ、すなわちロクロ成形のあと、思い切って変形させ、その上に櫛目、削り目をを入れるなどして、形そのものがダイナミックであって、高台もいろいろ変化させている。 前者が利休好みの楽茶碗に代表され、後者は織部の性格そのものの如く、沓形茶碗といわれるものとなっている。 豪放で、いかにも武家にふさわしい雰囲気を感じる。 また、瀬戸黒は天正年間(1573〜92)につくられたと推定されるところから、「天正黒」あるいは「引き出し黒」と呼称することがある。 |
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元屋敷窯という唐津から登り窯の技術が入ってきて、量産体制が整うとともに、陶工たちはこれまでの志野を焼いたときと同じように鉄絵を描き、長石釉を施釉して焼くが、大窯のときと違って文様が鮮明に現れてくる。 したがって志野特有の釉調が失われて、火色もほとんど出ない。 そこで段々と絵に主体が移るようになる。 このように連房式登り窯で焼いた志野を志野織部という。 器種としては皿、向こう付け、水差し、徳利などで、志野と織部の中間のところにあって、志野固有の味わいによる面白さがあるといえるようである。 |
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織部黒に対して、「窓絵」といわれる文様があるものをいう。 黒釉(黒釉とは、ふつう長石釉に加えて鬼板、マンガン、紅板などを入れてつくる)をかけるとき、窓とよばれる間をあけて、その部分に鉄絵具でもって、絵、文様を描き、その上に長石釉または灰釉をかけて焼く。 器種としては沓茶碗が多く、茶入れ、香合、水差しなどとあるが、なんといっても織部を代表する大胆かつ斬新なデザインには驚かされるところである。 安土・桃山時代といえども封建、閉鎖された社会で、かかる個性あふれ、自我のみなぎる力強い造形、加えるに西欧の抽象絵、幾何学文様を窓いっぱいに強烈に表現する自由の精神は、沓形の変形に極限にまでせまっている。 なお、器肌の黒釉の一部を掻き落として文様を描き、長石釉(または灰釉など)を象眼する技法や、黒釉の施釉前に、切り紙などを貼って白抜きする方法などもある。 |
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銅緑釉と長石釉が器の面で塗り分けられている。 そこで長石釉のかけられている部分に鉄(鬼板)で絵を描くという技法のものを指し、器種には向こう付け、皿、手鉢、角鉢、茶碗、香合、徳利など織部焼きといわれるものの中でも数は多い。 特に向こう付け、皿といった平たいものの場合には、器面を三等分(均等をいうのではない)して、上下もしくは左右には銅緑釉を配し、中央の見込み(広場)に鉄絵を描くというパターンがある。 このような構成(コントラスト)は安土・桃山時代の絵画、染色などの影響であろう。 一方、深向こう付けや徳利といった縦にながいものは、上部に銅緑釉、下部に長石釉、そこに鉄絵というパターンが多い。 長石とは珪酸塩鉱でアルミニウム、ナトリウム、カルシウム、カリウムなどを含有する。 そのため玻璃(はり・ガラス)の光沢をもち、色は白、灰、淡紅、淡褐、緑に色沢を変え、水分を加えると陶土となるところから、陶磁器の主要な原料となっているものである。 |
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鉄分のある赤い土と、白い土を継ぎあわせて、赤い土の部分には白化粧で文様を描き、鬼板で線描する。 かくして白い土の部分に銅緑釉をかける。 技法の基本を文字で書くと簡単であるが、実際は難しい。 白土と赤土では収縮率が異なるために、いかにつなぐかが、陶工の技術といえよう。 器種としては、皿、手鉢、向こう付け、茶碗などがある。 赤い土と白い土をつなぐために、さきの青織部のように三分割とはせず、二等分が原則のようである。 また縦に長いものは上部に銅緑釉、下部に長石釉という構成のものが多い。 なお長石釉にはできる限り鉄分の多い土を使うと、赤味を増す、といわれる。 |
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銅緑の織部釉(青釉ともいう)を器の全体にかけられたもので、そのため無文様のもの、あるいは釉下に線彫りで文様を加飾として透かし彫り、印花、貼り付けなど工夫されている。 器種としては皿類が多く、ほかに向こう付け、茶碗、鉢、香炉、香合、壺、硯、煙管、水滴などがある。 とくに文様が描けない反面、器形に創意をこらしている為、造形的に見るべきものがある。 織部釉は酸化銅のこと |
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鉄分の多い赤土を素地とする。(鳴海織部から白土に銅緑釉をのぞいたもの) 文様は白化粧土(白泥または白釉ともいう)と、鬼板(鉄釉)の組み合わせで描かれる。 なかには織部釉が点景として少し流しかけられているものがある。 器種としては皿、小鉢、向こう付け、茶碗などで、弥七田窯から多く出土している。 鬼板は酸化鉄のこと |