古田織部が織部正となったとき、織田信長の故智にならって設けた、
織部十作の一人 「元蔵」 つくる 「立ち鶴」 の茶碗である。
口縁はうすく少し外反する。
立ち鶴は胴をめぐって三羽描かれ、簡略化された筆の運びは、雅趣充分であるばかりか、
胆礬(たんばん)また鮮やかに抜けている。
箱裏には次の文言が添え書きされている。
− ある日梅谷庵を訪うて茶碗を見るに、その作風ならざるを思ひ、よくみると果たして織部十作の一人、元蔵なる窯印を発見す。あら天晴れなるかな、わが眼力 −
梅谷庵の元主人
胆礬(たんばん):
硫酸銅から成る鉱物で、板緑青ともよび、半透明の青色を発する。釉薬として緑色を出す時に、少量用いられている。
抜け胆礬(たんばん):
緑いろに発色した緑釉が、素地をつらぬいて反対側の面にも発色しているものをいう。
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